懐かしい昭和30年代がスクリーンによみがえる。総発行部数1400万部の人気コミック「三丁目の夕日」が実写映画化されることが21日、分かった。高度経済成長期の昭和33年の東京を舞台に、一番元気だったころの日本と夢に向かって生きる個性豊かな人々の姿を描く。撮影では、最新のVEX(視覚効果)技術と巨大セットで昭和の街並みを再現する。出演は吉岡秀隆(34)堤真一(40)小雪(27)ら。山崎貴監督(40)。来年11月公開予定。
題材は、73年(昭和48年)から連載された西岸良平氏原作のコミック「三丁目の夕日」(小学館)。終戦から十余年たった東京を舞台に、心温まる人情を描いた。映画は「永遠に」という意味もこめて、タイトルを「ALWAYS 三丁目の夕日」とした。高度経済成長の象徴ともいえる東京タワーが建設された昭和33年の東京の街に暮らす人々の姿を描いていく。
製作関係者は「昭和30年代は、未来に対して純粋に夢を抱いた時代。モノがあふれ、今の日本が忘れてしまった『心』を描くことで、もう一度、自分たちの未来に希望と夢を持ってほしい」と話す。
メガホンは、近未来と現代をつないだSF映画「シュブナイル」「リターナー」を手がけた山崎監督がとる。2作品とも映像に関して「日本の最新VFV技術の成果」と絶賛された実力の持ち主。今回はさらに進歩した技術を駆使して、日本映画では初めて本格的に昭和30年代の街並みを完全映像化する。同監督は「昭和30年代の東京で撮影した気持ちで作りますので、劇場でタイムトリップを味わってほしい」と話す。
現在、東京・成城の東宝撮影所にある日本最大規模の常設映画スタジオ(敷地面積1325平方メートル)に巨大セットを建設中。都内各所のロケでは当時の面影を残す場所を使って撮影した後、CGでデジタル処理を施す。当時の東京を俯瞰(ふかん)で見せるなど、スケール感あふれる映像も随所に披露するつもりだ。
最近は、昭和30年代を基調にしたテーマパークや飲食店、グッズが人気を集めている。製作関係者は「単なる懐古ではなく、当時の人々の前向きな心に触れるような作品にしたい」と意気込んでいる。“昭和・レトロ”ブームの決定版となりそうだ。
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